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10月29日(木)味は足すものではなく、引くもの

余分なものを取り除き、
本来備わっている力を最大限に引き出す


1.味は足すものではなく、引くもの
豚足スープの商品開発と味の本質について、
今回の豚足スープで感じた、雑味のないクリアな味わい。
ここで重要なのは、濃厚であることが必ずしも美味しさではないという発見です。
味を足し続ければ複雑になります。何が美味しさを生み出しているのか、かえって分からなくなる。
逆に、余分なものを引いていくことで、それぞれの素材が持っている本来の旨味が見えてきます。
ニンニクラードの製法改善も同じです。
スープそのものを変えなくても、ニンニクの香味を適切に抽出し、雑味を抑えることで、
スープ全体の美味しさが引き出されました。
つまり、美味しさとは、素材を増やすことではなく、それぞれの素材が最もよく働く調和点を見つけることなのです。

2.商品開発と人間の潜在能力開発は同じ構造を持つ
スープには、もともと美味しさを生み出す成分が存在しています。
しかし、その成分が適切なバランスで働いていなければ、本来の美味しさは現れません。

人間も同じです。
人間には、物事を理解し、問題を解決し、より良い状態を実現する能力が備わっています。
しかし、思い込み、固定観念、恐怖、自己中心的な価値観などによって、
その能力が十分に発揮されていない。
だからこそ、能力を外から付け加える以前に、本来の能力の発現を妨げているものを
取り除くことが重要になります。

人間の潜在能力とは、新しく獲得するものなのか。
それとも、もともと備わっている能力が、
妨げを取り除くことで自然に現れるものなのか。


3.仏教の視点から見ると「煩悩の滅」に通じる
この思想は、仏教の修行とも深く結びつきます。
仏教では、貪・瞋・痴によって物事をありのままに見ることが妨げられると考えます。
自分の欲望や思い込みによって世界を解釈すると、物事の本質が見えなくなります。
その覆いを取り除いていくことが、智慧を育てる過程です。
商品開発において味を足し続けることと、人間が思考や価値観を積み重ねて
自分の世界に閉じこもることには、構造的な共通点があります。
どちらも、余分なものが本質を覆い隠しているのです。
ただし、味覚の最適化と仏教の解脱は同一ではありません。
両者を結びつけるのは、本質を見極めるために、妨げとなるものを取り除くという方法論です。

4.障害は潜在能力を引き出す機会になる
自転車に乗れるようになる過程が、その例です。
最初はできなくても、試行錯誤を繰り返すことで、意識していなかった身体の調整能力が働き始めます。
経営も同じです。
目標に向かって進むと、必ず問題が発生します。
その問題を単なる障害と見るのか、それとも自分たちの認識や能力を高めるための課題と見るのか。
この違いによって、行動は大きく変わります。

仏教の四正勤に照らせば、問題を正しく認識し、好ましくない状態を減らし、
好ましい状態を育てていく継続的な実践とも結びつけられます。

本質を覆い隠している偏りを取り除くことによって、
万物が本来備えている力を引き出し、
調和の取れた状態へと導く。それが商品開発であり、
人間の潜在能力開発であり、我々の経営の本質である。


5.昭和食品工業の存在目的
会社の存在目的は、人間の潜在能力を引き出し、その能力によって社会の偏りを正し、
より調和の取れた状態を実現することにある。
そのための具体的な活動が、商品開発であり、店舗運営であり、業務の標準化なのです。
おにぎりの握り方一つ、スープの作り方一つにも、この目的がつながっている。
そう考えると、日々の仕事は単なる作業ではなく、
人間の能力を開発し、社会に価値を生み出す実践の場になります。